エル・リシツキー El Lissitzky

著者紹介: El Lissitzkyエル・リシツキー

1890年ロシアのスモレンスク生まれ。ロシア・アヴァンギャルドの最重要人物、ロシア構成主義やシュプレマティズムの発展に貢献した20世紀グラフィックデザインの革新者。画家、建築家、デザイナー、タイポグラファー。1909年からドイツのダルムシュタット工科大学で建築と工学を学ぶ。その後、ロシアに戻り、1919年にヴィテブスクの美術学校の教授に就任する。そこでロシア前衛芸術運動シュプレマティズムグループであるUNOVIS(ウノヴィス)のリーダーであるカジミール・マレーヴィチに出会い、影響を受ける。1919年から約2年かけて、以降彼の活動の基盤となる「プロウン」という絵画と建築を結びつける、抽象幾何学絵画シリーズとされる建築への応用を意識した作品を制作する。それは、マレーヴィチの二次元平面だったシュプレマティズムとは異なる展開であり、平面上に三次元で表現、つまりフォルムと構成の建築様式的な実験だった。立体要素を伴うことであらゆる角度から鑑賞できる絵画であり、空間を感じることができることで、建築物になる作品だった。その他、ブックデザインやイラストでも革新的な出版物を発表する。1919年ヘブライ文字を絵の中に組み込んだユダヤ民謡「山羊」、童話「イングル-ツィングル-フヴァト」、1922年6つの構成による2つの正方形についてのシュプレマティズムのお話である「二つの正方形の物語」、1923年詩人ウラジミール・マヤコフスキーと制作した「声のために」など。その他、プロパガンダポスターのデザインにも従事し、高く評価された。代表作は1919年「赤い楔で白を穿て」。

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