チェコ人形アニメーションの３大巨匠といえば、イジー・トゥルンカ、ヘルミーナ・ティールロヴァー、そしてカレル・ゼマン。本書はスティーブン・スピルバーグ、ジョージ・ルーカス、宮崎駿なども影響を受けたチェコアニメ界の先駆者、特撮の巨匠であるカレル・ゼマン監督の幼少期から始まり、初期から晩年に渡って制作された代表作を収録した作品集。ペルシャ寓話を元に製作された牧歌的長編人形アニメ「鳥の島の財宝」、ゴットフリート・ビュルガー原作である奇想天外な大冒険をアニメーションと実写で合成し映像化したファンタジー大作「ほら男爵の冒険」、未知の生き物やさまざまな恐竜が登場するSFトリック・フィルムの傑作で恐竜映画史に残る「前世紀探検」、ガラスの踊り子とピエロの悲しい恋の詩的短編作「水玉の幻想」、そして「海底二万マイル」や「八十日間世界一周」でお馴染みのジュール・ヴェルヌ原作「悪魔の発明」、「盗まれた飛行船」「惑星に乗って」を完全映像化。銅版画、切り絵、アニメ、実写を合成して制作した特撮冒険SF映画や、ファンタジー、アドベンチャー、詩情とロマン溢れる物語に魅了される表現など、幻想の魔術師ゼマン監督の数々の名作とそれを生み出した絵コンテまで収録された資料性の高い一冊。 

2015年版。新本。

サイズ：32m×21.8cm / 262ページ / ハードカバー 
＜チェコ語表記＞

作家紹介： カレル・ゼマン（Karel Zeman)
1910年ボヘミアのオストロメール生まれ。デザイナーを経てフランスのPR映画制作に従事。戦後チェコ・アニメーションの発祥地ズリーンにある人形アニメ国立スタジオに所属し、人形アニメーションを制作。一方で青少年教育向けのトリック映画を数多く制作。カナダで切り絵アニメーションの指導したり、毎年開かれるズリーンの児童映画祭の委員長を長く勤めた。晩年は実写とアニメの合成、切り絵アニメーションや人形アニメなど斬新なスタイルで秀作を多く生み出した。